fantasy:ファンタジー
天使の軍団 -無断転載・流用は禁止です-

■天使の階級(The order of the celestial hierarchy)■
セレスティアル・ヒエラルキー
12〜13世紀、神学者たちは天使のランキングづけを各種資料から整理、完成させた。(諸説・他説あり)この9階級は、7層あるいは9層とされる天界とは違い、神を中心とする天使軍団(位階・階級)の組織図とされている。天使たちは所属する階級が少ないほど、つまり、神に近い程、光あるいは炎または、バイブレーションに似た存在で、神の座から離れるに従って肉体的な実質を持つようになる傾向がある。

■天使軍団■
上級三隊 -1 織天使(Seraphim)
-2 智天使(Cherubim)
-3 座天使(Ofanim)
中級三隊 -4 主天使(Dominions)
-5 力天使(Virtues)
-6 能天使(Powers)
下級三隊 -7 権天使(Principalities)
-8 大天使(Archangels)
-9 天使(Angels)
・上級三隊(1st triad of celestail hierarchy)
織天使セラフィム、智天使ケルビム、座天使オファニムからなる三隊で、中心点としての神の最も近くに位置を占める天使。彼ら三隊は常に類似した存在であるようだ。
エノク書で神はエノクに語る。
「私は石から大きな火を起こし、その火から全ての体のない軍勢と星の軍勢、ケルビム、セラフィム、オパニムを作った。これら全ては火から生じさせたのである。」
織天使セラフィム(Seraphim)
「燃える」「蛇」というヘブライ語源をもつセラフィムは最も神に近い御使いとされる。古代、この生き物は天界を飛翔する蛇とされていた。
ユダヤ教では、彼らは神と直接交わり、純粋な光と思考の存在として愛の炎と共鳴する。また”愛と想像力の精霊”と称されることもあり、威厳・名誉に満ちた天使であると言える。彼らは、キリスト教、ユダヤ教共通の天使であり、キリスト教では6枚の翼を持つとされている。2枚で顔を覆い、2枚で足を隠し、残りの2枚が飛翔用である。
手にはサンクトゥス(Sanctus)もしくは、旗を持っている。彼らは常に神の御座の周囲を飛翔し、サンクトゥスを唱えている。
彼ら織天使の指揮官については諸説があり、ウリエル(Uriel)、メタトロン(Metatron)、サタン(Satan:堕天する以前の)、ケムエル(Kemuel)、ナタナエル(Nathanael)、ガブリエル(Gabriel)などとされる。
・智天使ケルビム(Cherubim)
語源であるCherubはヘブライ語で「知識」又は「仲裁するもの」と言う意味がある。非常に古い存在でアッシリアでは寺院や神殿の入り口を守る番人の役目を持ち、エジプトでは夜空、宗教の勤行を意味し、聖書ではエデンの園の東門で”あらゆる方向に向かう炎の剣:稲妻”を武器として護衛役を勤めるとされる。
ケルビムの姿も当初は異形だった。4枚の翼を持ち、腕、顔は4つ。光り輝くその足元には車輪がある。この車輪は太陽の運行と関係を持ち、また神の御座を運んだり、神の戦車を駆ける役目を持っていたという。
この軍団の指揮官はヨフィエル(Jophiel)とされる。
・座天使オファニム(Ofanim)
”神の玉座を運ぶ尊厳と正義の天使”又は”意志の支配者(Lords of Will)”とされる。別名トロウンズ(Thrones)もしくはガルガリン(Galgalim:車輪、瞳)。この車輪とは、緑柱色に輝き、あるいは炎と燃え、多くの瞳を持っているとされる。そうっいった理由で”火車”が彼らのシンボルとされる。
神の玉座を運ぶ役目を持つというと、智天使と混同するような表現である(実際、エゼキエル書でも、智天使と座天使が混同されている一面がある)。
一説では、座天使トロウンズとは、ケルビムに付き従う車輪と言うふうに考えられることもある。
後世の神学者たちは、この混乱をさけるためにケルビムは役職上の神の玉座を運ぶものであり、オファニムは戦車など実践上の役目を果たしたのだという。
座天使トロウンズの指揮官は、ヤフキエル(Japhkiel)もしくはラファエル(Raphael)とされる。
・中級三隊(2nd triad of celestail hierarchy)
人間にとってもやや身近に感じられる存在、ドミニオンズ、ヴァーチャーズ、パワーズの構成する中級三隊である。彼らの使命は、”対立するものの調和”である。つまり、善と悪、物質と霊といった関係にあるものの力の均衡を保つということだという。
・主天使ドミニオンズ(Dominions)
英語では統治、支配を意味する(Domintion)であり、別名主権(Loadship)ともいう。彼らドミニオンズの役割は神による真の統治を絶え間無く切望する事にあるという。つまり、神の言葉をあまねく宇宙に知らしめるためにさまざまな活動をするという事だ。神の威光を示すように、そのシンボルは笏である。この部隊の指揮官は、別名を”炎を発する天使”と呼ばれるハシュマル(Hashmal)もしくは、ザドキエル(Zadkiel)とされる。
・力天使ヴァーチャーズ(Virtues)
”高潔”を意味する力天使ヴァーチャーズは、ヘブライではマラキム(Malakim)またはタルシシスム(Talshishism)と言う名前で知られていた。恩寵と勇気を人々に授けるために「地上の奇跡」をつかさどることを任務としている。従って、英雄を力づけたり、善を行う者たちの前に出現し、その威力を見せるという。
キリスト昇天の際に出現し、付き添ったのも彼らヴァーチャーズだとされ、カインの誕生の際に産婆の役目も勤めている。
力天使ヴァーチャーズの指揮官はミカエル(Michael)、ラファエル(Raphael)、バービエル(Barbiel)、ウジエル(Uzziel)、ペリエル(Periel)とされている。
能天使パワーズ(Powers)
神により最初に作られたとされる。その任務は非常に苛酷で、彼らは地獄に落とされた天使、つまり堕天使である悪魔の軍勢の最前線に陣取り、対抗するという役目を持ち、常に戦闘体制にあるという。
従って、悪魔の誘惑に身をさらされている事から、この階級から堕天使が派出する事が多く、実際、この能天使から最大の離反者を出したのだという。司令官のカマエル(Camael)自身も堕天使であるという見方もある。カマエルの名前の持つ意味は「神を見るもの」であるが、114万4千人の部下を擁して「破壊の天使」又は「懲罰の天使」「復習の天使」といった恐ろしい称号を持っている。また、死者の霊を導く役目も合わせ持っている。
能天使は別名デュナミス(Dynamis)、ポテンティアティス(Potentates)ともいう。この軍団の指導者はラファエル(Raphael)とされている。
・下級三隊(3rd tried of celestail hierarchy)
人間にとって最も近い位置にいる天使軍団である。上級三隊が光やバイブレーションに近い存在であり、中級三隊がそれよりもやや物質的なものであるのに比べ、下級三隊の場合は人間に触れる機会も多く、またその身体も実質を伴っているという。権天使プリンシパリティーズ、さらにはもっとも有名な存在である大天使アークエンジェルス、また非常に親しみやすい天使エンジェルスの三隊からなる構成である。
・権天使プリンシパリティーズ(Principalities)
もともとはプリンスダム(Princedoms:プリンスが支配する領地)という意味を持つ権天使は、天使軍団の第七階級を占める天使軍である。地上における国や都市を統治支配する役職を担う彼らは”信仰の擁護者”としての性格を次第に強めてきた。具体的には”人々の指導者を監視し、彼らの正義への決意を鼓舞する”ということにある。この軍団の指導者はアナエル(Anael)、エノクを天に運んだとされるハミエル(Hmiel)、カマエル(Chamael)などとされる。また、もともとはアッシリアの神であったニスロク(Nisrok)もこの軍団の指揮官だったとする説もある。しかも、ニスロクはその後悪魔軍団に寝返っている。
大天使アークエンジェルス(Archangels)
天使の中でも知名度が高く、トップランクの権力・能力を誇示するのがアークエンジェルスである。8番目の軍団とされながら、実際には参謀本部の性格をもつ。彼らは神の輝ける玉座の前に立ち、その命令を直接受ける立場にいる。また、世界が終末に向かうとき、7つのラッパを吹く役目を持っている。ユダヤ教、キリスト教とも大天使が7人である事を認めているが、その名前に付いては諸説があり、一定されていない。その中でも確定されている4人が、ミカエル(Michael)、ガブリエル(Gabliel)、ラファエル(Raphael)、ウリエル(Urier)である。彼ら7人の司令官の中で最高の地位と実力を持つ総司令官は大天使ミカエルである。7人の名前に付いてはこちらを参照。
天使エンジェルス(Angels)
天使軍団の中でも最も人間に親しみやすい姿と容姿を持ち、人間世界の詳細な部分に至るまで正義の名の元に監視し、激励し、鼓舞する役目を持っている。場合によっては悪に向かう心を戒めることもある。彼らは神と人間の間をとりなし、ある時は大天使の命令を実行するなど各所で働いている。
彼らエンジェルスの数は想像を絶するほど多い。ユダヤ教によると、天使たちは毎朝、神が息をつくたびに”夜霧”の様に作り出されるとされている。その数を「タルムード」によると、一人のユダヤ人が誕生するたびに守護役をおおせ付かる天使が1万1千人いるとされる

注釈
サンクトゥス
ヘブライ語で、トリスアギオン(Trisagion)「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな」の歌詞を刻んだ”炎の短剣(Flabellum:聖扇)”


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